タヒチでベアボート


[夢のTAHITI]  1992.May


ベアボートしてみよう!

 結婚することが決まると、次は新婚旅行の行き先だ。
 うちの奥さんはなぜか、これと言って行きたい所もなく、「何処でもいい」というので私の好みで何処にしようかな...

 クルージングワールドで特集していた海外でのチャータークルーズを思いだし、バックナンバーを読み返した。

 ”クルージングセイラー憧れの....”、”楽園”などとあまーい誘惑が。



行き先

 最初は、天国に一番近い島か(ニューカレドニア)かゴールドコーストかなっと思っていたが、色々読んで、やっぱ タヒチだ! ボラボラだ!っと決心。

 タヒチでのチャーターヨットは、日本に代理店があるので安心だ!
 ATMとムアリングスがあるので両方に資料をもらい、カラーの資料を送ってくれたATMに決定!




打合せ

 当時、日本からタヒチへの飛行機は、週1便しかなっかた。ATMのパンフレットを見ていると、チャーター料金に1月以上なんて欄もある。外人は、長期休みをとってやってきて、長いことクルージングを楽しむんだろうなぁー。
 どうせなら、我々も2週間滞在してやろうかと思い、旅行代理店に相談するも、飛行機の関係か何だかできないような返事。 まぁ、1週間で我慢するか。

 お次は船。
どれにしようかなぁー

 36フィート位が適当だろうとは思いつつ、この際だから、できるだけ大きいのをねらう。50フィートは余りにもデカ過ぎるので、4バース、2ヘッド、2シャワーの44フィートにする。

 その前にクルー付きのチャーターか、船だけのベアボートかの選択もあった。

 純粋にバカンスを楽しむなら、絶対クルー付きだとは思ったが、大きい船を一人でしかも外洋も走る、向こう見ずというか何というか...とりあえず、全部を自分でやってみたかったのでベアボートにした。

 どんな装備があるのか分からないので、しつこく教えてもらい、VHFとコンパス、チャート、測深器、程度。要は有視界航法に必要十分な装備があった。

 パス(珊瑚礁の切れ目の航路)の通過がちょっと不安なので、ハンディGPSを持って行くことにする。




タヒチ島パペーテ着

 機外へ出るとむっとする。と、同時に森と花の匂、まるで温室に入ったようだ。
滑走路を歩き、空港の建物に入って入国検査の列に並ぶ。頑張ってできるだけ前の方へ行ったつもりだったが、かなり後の方である。

 やっと、関所を抜け、現地係員とやらを探す。この旅行代理店に世話になっているのは20人程だった。皆さんは、のんびりとバスに向かって歩いて行くが、我々は、飛行機に遅れそうだから、のんびりする暇もなく、急げっとエアータヒチの乗り場へ急ぐ。

 このエアータヒチ国内便で、ランギロア環礁辺りまで飛んでるらしい。双発のプロペラ機で4、50人乗りで、日本人は我々を入れて4人、白人が大半で、タヒチの人は数人。



 プロペラ機だと思ってナメていたけど、結構な加速で離陸して行く。
島の輪郭と、バリアリーフ(環礁)がみえてくる。リーフの内側は、エメラルドグリーン、リーフでは波が崩れ、リーフの外側は、ダークブルー。
「おおっ、これぞ南の島だーっ」と、小声でヨメさんと喜びながら、窓にへばりつく。

 ヨットを貸してくれるATM−YACHTは、ライアテア島にある。途中2つの島へ着陸する。次は、ライアテアだ。
 これから5日間この海で遊べると思うと、もうワクワクして熱が出そうである。

さあ、ライアテアにランディグだ!




荷物が出てこない...

 空港に降りて、建物へ歩いて行く。迎えに来てくれる人は、どうやって我々を見つけてくれるのか?まあ、日本人は、我々しかいないから、大丈夫かな?等と思っていると、パンフレットで見た、ATMタヒチのゾブロエフスキさんが来ている。

 ちっちゃい子供みたいな日本人が2人いると思ったのか、挨拶もロクにないまま、”じゃ、行こうか”って合図するので”ちょっと待って、荷物がまだなのよ”と言って荷物受取場所で待つが出てこない。一つ目の篭には、入っていなかった、飛行機は飛び立って行く、2つ目の篭の最後に我々の荷物は入っていた。

 最後に荷物を受け取って閑散とした空港ロビーで、”荷物あったよ”とゾブロエフスキさんに伝えると、”あのタクシーにちゃんと言ってあるから、あれに乗って、ATMのベースに来い”とそっけなく言う。そこには、ボロボロのピックアップが...

 普通、日本で新婚旅行っていうと、ロールスやリンカーンのリムジンが迎えに来るのにねと言いながらも、ここでは、タクシーも車もみんなボロボロなので、文句は言えない。
 もっとも、リムジンに乗って金持ち気分になりたい訳ではないので、ボロでも平気だ。
 途中、郵便局に寄ってもらい、トラベラーズチェックを現地通貨に換える。

 タクシーの運転手さんは、気を使って色々話手くれるが、いかんせんお互い英語が下手だ。でも、日本に行ったことがあるとか、お爺さんが日本でどうしたこうした。って言ってたなぁー。

 あっと言う間に町並みは途切れ、緑の濃い山道をゴトゴトと走って行く。




ブリーフィング

 日本でもらったパンフレットによると、ATMのベースに着くとウエルカムパーティがあると書いてあった。朝食を取っていないので、腹がへった。


 フルーツとドリンクが出てきて、何やらアンケートを書けと言うので書いて、ゆっくりしていると、もうフルーツを下げてもいいかと言ってフルーツを下げてしまった。
 次に何か腹に応える物が出てくるのかと思ったら、船に荷物を置きに行こうという。
 えーっそんな!だったら、もっと食べとくんだった!

 船には、ボスの奥さんバーバラが案内してくれた。先ほどのアンケートを見て、”何のデザイナー?”かと聞く(私の職業は、機械設計なので、デザイナーと書いた)ので、”工業設計で、クレーンを設計している。”って答えると”なーんだ”という顔をされた。どうやら、ファションデザイナーと勘違いしたらしい。

 今回借りる船は、ATM443(ジャヌー44サンオデッセイ改)。

今まで、30ftを超えるヨットに乗った事さえなかった我々は、その大きさに感動トイレ、シャワーは2つづつあるし、中の広い事、広い事。


 早速、持参したハンディGPSを取りだし、GPS自身の位置を認識するように電源を入れる(電源を切ったまま、遠くに移動すると、電源を入れてもすぐに位置がでない)

 船の装備、と使い方を説明してもらう。何も難しいことはなく、スムーズに説明は済んだ。何と、コックピットロッカーには、バーベキューセットまで入っている。

 船を降りて、場所を事務所横の打合せ場所で、チャートを見ながら、ラグーン内の走り方、難しい場所の目標物について説明を受ける。10分位だろうか、これで、ブリーフィングは、おしまい。

 今回のコースは、すぐ北側のタハア島へ1泊、ボラボラ島2泊、再びタハア島1泊の予定と決める。

 ”では、すぐ出発するか?”聞くので、”出発したいが、食料の補給がまだ済んでいないので、マルシェ(市場)に連れて行ってくれ”と言うと、(車で市場に連れて行ってくれると日本では聞いていた)、”タハアに行く途中だから、船で寄って行け”と言う。
話が違うぞとも思ったが、腹は減ったし、なんだか居心地が悪し、気持ちははやるしするので、早々に出発する事にした。




出航

 舫いを離し、ゆっくりとファファロア川の河口に向け、テンダーの舫いをミジップからスターンへ移す。GPSは、かれこれ一時間も電源を入れっぱなしだが、まだ位置がでない。

 オートパイロットがないので、ステアリングから離れる時は、ラットをロックして離れるが、あまり長いこと直進はしてくれない。

 あまり、広くないラグーン内を走る時、コックピットに座って居ると前が見えないので立ちどうし。時々一杯人を乗せた、船外機付のカヌーがカッ飛んで行く。

 河口に出ると、今まで写真で見たような、景色が見えてきた。
 リーフで砕ける波、モツ(小さな島)、白い砂浜、椰子の木、島影にアンカーを打ったクルージングヨット。

 海の透明度は、高く、潜りをやらない私でさえ、潜って見たくなるような海。(最近は、潜るようになりました)

 奥さんは、着替えたついでに、眠くなったらしく、キャビンで寝てる。もったいないなー。




おんざろっく!

 これから始る夢のようであろう数日間にワクワクしながら、船を機走6ノットで進める。この時、不覚にもラグーンを水路沿いに進んで行けばいいと思っていたので、(馬鹿ですねー)チャートをコックピットに出していなかった。(コースは一応頭に入っていたんだけど)

 ”ダークブルーは深い、エメラルドグリーンは、10m未満、黄色ぽいところは浅い”と説明を思い出しながら進んでいた。

 ”むむっ!前方は、黄色ぽいぞ!浅い?”デッドスローにして、バウへ行く。
 ”げげっ!浅い!当る!”コックピットへ走って戻っていると、ゴゴッ。
 ひえーっ、大してショックは無かったが、今まで一度も座礁を体験した事がないので、ちょっと心配だ。バックに入れるとすぐに離礁した。床板をめくって、浸水してないか確認する。(今思えば、全然たいしたことない程度の座礁だった)

 ビルジ溜まりが大きいのでよく判らない。キールの付根とキールの先端を潜って見てくると奥さんに言うと、何故かすごく心配して、潜るなと言う。もし、僕が上がって来なかったら、どうしていいのか判らないから。(死んだって浮かんでくるぞ!)

 しょうがないので、VHFの使い方を教えて、アンカーを打って潜る事にした。




VHFでヘルプ

 深さは、20m。何にも考えずに、オールチェンのRQCをレッコ。
潜って見るが、キールの付根前方にクラックはない。キール先端も触ってみたが、FRPが剥がれるまでは、いってない。

 ”だいたい、チャート見ながら走らないんだもんなー”とか笑いながら、ウインドラスで、アンカーを巻上げる。  が、少し巻いたところで、上がらない、どんなにやっても上がらない。エンジンであちこち押しても引いても抜けない。

 再び血の気が引いていく...

 数百メートル向こうを同じATMの50ftカタマランが走っていく。どうかしたのかって、こちにくると恥かしいので、アンカーを打って休んでるフリをする。

 カタマランが行過ぎて、再びチャレンジするが、抜けない。”潜ってくる”っていうとまた、嫁さんはピーピーうるさいし、20m潜る自信もない。

 困ったなぁー。しょうがない、まだATMのベースに近いし、VHFで呼んで助けに来てもらおう。しかし何て言うかな?HELP!って言うとすごく大変そうに聞こえるし...こんなドン臭いことする奴に船は貸せないって言われないかな...

 ビクビクしながら、マイクを握り、”アンカーが揚らなくなったので、手伝って”と伝える。

 しばらくすると、2人のスタッフががやってきて、マスクを付け、潜るのかと思ったら、水中を覗き込んで、”船をあっちに向けて前進しろ”って叫んでる。よくわからないまま、何度か押してたら、アンカーが抜けた。

 よかった、よかったと親指を立てて喜んでくれる。
 ”アンカーは、10m以内で打つ事!””次は、赤ちゃんを頑張れ”だと???

 何で、こんな所にアンカーを打ったのか理由もきかず、2人は去って行った。

 それからは、チャートと水深計をよく見るようにした。(あたりまえの事だけど)



食料を補給したい!

 マルシェ(市場)は、この辺にあると聞いたが、何処だろう?
どうも、あれが市場の建物の様だ。しかし、船をつける場所がない。アンカー打って テンダーで上陸か?アンカーはもういやだなぁー。

 近付いてみるが、テンダーを着けるような場所も見当たらない。

 どうしよう?また座礁するのもいやだし.....
 船の冷蔵庫には、フルーツジュースが2リットル、入っているだけ。日本から、米やスパゲッティ、菓子、クラッカー等は一応持って来てるが、ビールや、ミネラルウオーターが最低欲しい。

 座礁の後なので、どうも気持ちが乗らない、またどこかで補給はできるだろうって事で、本日の目的地、タハア島マリナイチへ向かう。しかし、腹減ったぞー!




グリーンラグーンを行く

 タハアは、ライアテアのすぐ北に位置し、ライアテアと同じバリアリーフに囲まれた島で、タハアとライアテアの間は、浅い珊瑚礁。掘り下げた水路を進むことになる。

 マルシェを過ぎてから、島の景色は、町になってきた。フランス人も多く住んでいるので、町並みはヨーロッパみたいだ。

 いよいよ、珊瑚礁の水路に近付いてきた、先方の海が、黄色ぽくみえてくる。
 運の悪い事に逆光だ!立標があるとはいえ、ほとんど、ただの棒切れに近いのでこの逆光の中、確認は厳しい。前を走る船もない。しょがない、ハラくくって行くか!

 やっぱ、クルーを付けるべきだったと、今頃後悔しても遅い。




マリナイチ

 緊張の中、何事もなく水路を抜けた。
 ATMでもらった、イラストマップによると、マリナイチには、アンカリングブイと水、燃料のマークがついている。マリナイチというのは、そこにあるホテルの名前でもあるようだ。しかし、ガイドブックを見ても、チャートを見ても、他には何もなさそうだ。ううっ、食料の補給がしたーいっ!

 とりあえず、アンカリング用のブイを拾い、テンダーに乗って、ホテルマリナイチの棧橋に着ける。中に入って見るとホテルなのかどうかよく判らない。
私”ここは、ホテル?”女主人”ウイ”、私”ここはレストラン?”女主人”ウイ”
 何だかよく判らないけど、ディナーはできるかと聞くと、魚料理でよければできるとのこと。”それで、いいからよろしく、それから、ビールを頂戴!”

 ヒナノビールを飲んで、やっと生き返った感じ。”ディナーは、ホテルの宿泊者と一緒だが、それでいいか?”というので”OK OK”と答えておく。
時刻は、17時過ぎ




ハラヘッタ!メシクワセ!

 夜になると、真っ暗になるとガイドブックに書いてあったので、ビールを1本飲んだ所で、懐中電燈をとりに一旦船にかえる。

 ふたたび、マリナイチのテラスでビールを飲む。もう、ここに座って1時間位経つが食事が出てくる気配がない。2人共腹の虫がギュルギュルいっている。僕は、クラッカーやクッキーを食べたが、セツ(奥さんね)は、クラッカーやクッキーは嫌だから、ジュースしか飲んでいない。ビールもよくまわる。朝も早かったので、うつらうつらと、居眠。しかし、腹が減った!

   一眠りして、寒くて目が覚めると、太陽は、水平線に消えていた。
 ううっ、飯くわせろ! 吠えるぞぉー!

 19時過ぎ、ホテルの宿泊者達が、食堂に出てくる。やっと、食べれる。朝からロクな物を食べていない。新婚旅行で、ひもじい思いをする奴も珍しいぞ!

 料理が、出てくるが、ここのオーナーはフランス人、料理は当然フランス料理、それもトロピカルな奴。

 前菜、何だかよく判らないものが出てくる、甘い。次に出てきた物も何だか日本人に言わせれば、お菓子の様な物、同じく甘い。

 結局、どれ一つとっても口に合うものはなく、ひたすら甘かった。
一体、どーゆー味覚をしてるんだろうこの人たちは。

 残しては、失礼だと思いかなり頑張ったが、1/3以上残してしまった。
疲れているので、食べたら後は寝るだけ、早く席を立ちたいが、他の客にも気を使って様子を見て席を立つ。

 沢山残してしまった言い訳を、残して御免なさい、とてもおいしかったけど、今朝パペーテについて、飛行機を乗り換え、ライアテアにやってきて、ATMでヨットを借りてここまでやってきたので、非常に疲れている。元気だったら、全部食べれたのだけど、疲れているので、この甘さは、ちょっとしつこくて食べれなかった御免なさい。とフランス人相手に英語でそう言ったつもり、女主人は、ハイハイ、フンフンと聞いてくれた。一体どこまで通じているやら...

 テンダーに乗り、真っ暗な中を懐中電燈を頼りに我が”NEARCO”に向かう。
 月の出は、遅いようだ。でも、満月に近い。
 シャワーを浴びて、早々に熟睡する。




素敵な朝

 船に泊るといつもの事ながら、早く目が覚める。
 魚釣をしてやろうと、日本から、安物の投げ釣セットと、餌の代わりにルアーやワームを持ってきていたので、試すことにする。
 時刻は、6時過ぎ。

 仕掛けを作っていると、歌声がきこえてくる。そっちを見ると、2人のタヒチアンが小さなカヌーに乗って、入り江を渡って行く、夜露を浴びて朝日に輝く山をバックに、2人の歌が周囲に響く。
 我々の日常とここでの日常、一体どっちが人間らしいか?


 魚は、釣れなかったが、とても気持ちのよい朝だ。セツは、まだ寝てる。




初めてのパス

 朝食と言っても、クラッカー、クッキー、フルーツジュースしかない、(船のタンクの水は多分大丈夫だろうけど、万が一を考えて生では飲まない)
 結局、ここにマーケットはなさそうだ。

 今日は、いよいよボラボラ! マリナイチのある入り江から出ていると、前方を同じATMのヨットが横切って行く、彼等もボラボラに向かうのだろう。  しめた、パス(珊瑚礁の切れ目)の通過は、彼等について行こう。これで、安心。

 パスを遠くから見ると、ただバリアリーフが途切れているだけの様に見えるが、近づいて行くと、バリアリーフではかなり波が崩れている。そして、リーフを乗り越えてラグーンに入った海水がかなりの勢いでパスから流れ出ている。

 一旦入ったら、後戻りはできない。まるでブラックホールだ!
 根性を据えて突っ込むっていうより、少々不安なままズリズリとパスに引き摺り込まれた。
 水深計がだんだん浅くなっていると知らせる。しばらく浅い数字が続くが、パスを抜けたとたん最大値でフリーズした。チャートによると、この辺りは、2,3千メートルの深さだ。
 足が届かなければ、いくら深くても同じなのだが、”板子一枚下は地獄”そんな言葉がふと頭をよぎる。船は、浮いてりゃ水深は幾らでも関係ないよーって言い聞かせる。



南太平洋真っ只中

 風は弱い、おまけにクローズ。まだ早いし、せっかくだから、エンジンを切ってみる。 少し島から離れてきた。見えるのは今出てきたタハア、ライアテア、そして目指すボラボラの3島以外は、インクを溶いた様なダークブルーの海、白い入道雲の浮くこれまた青い空。
 うねりの波長は長く、波の山と谷の落差は2m近くもある。谷に入ると向こうがほんの100m程しか見えない。

 広い空、広い海が地球を感じさせてくれる。この海を渡れば何処へでも行けそうな気がしてくる。

 余りに風が弱いのでエンジンをかけ、ハーフスロットルにする。余りのんびりとロマンに浸っていたら、日が暮れるまでにボラボラに着けなくなってしまう。オートパイロットがないので、ずっとラットを持っていなければならないのが辛い。




来たぞ! ボラボラ

 ボラボラがはっきりと見えてきた。GPSで現在位置とパスまでの距離と方位を確認する。当たり前だけど、緯度はS(サウス)を示している。
 リーフもはっきりと見えだした。リーフにくだける波を見ると、ちょっとビビってしまう。できるものなら、このパスを通りたくない! でも、来たぞボラボラ!




憧れのボラボラ

 タハアを出る時、前を走っていたATMのカタマランは、北寄りのコースを取っていたし、カタマランなので艇速がちがう、我々より、1時間近くも早くボラボラに入っていった。
 双眼鏡で見通しの物標を確認してパスに進入。島に入って行く時は、パスから海水が流れだしてくるので、フルパワーで前進。

 右手には、バイタペの港が見える。左には、かの有名なボラボラヨットクラブの水上コテージ見えてくる。デッドスローにして、メインをおろす。早く、アンカリングブイを拾わないと暗くなってしまう。

 ボラボラヨットクラブの前には、10隻近くヨットがアンカリングしている。はやる気持ちを抑えて慎重にすすむ。




補給がしたい!

 ボラボラヨットクラブの前には、10個位のムアリングブイがあるのだが、殆どのブイにヨットが繋がれている。”弱ったなー。アンカーは、打ちたくないし..”。

 ウロウロしていると、この船溜まりで一番大きなイギリス国旗を揚げたスクーナーの横にブイが1個浮いている。あまりにもこのスクーナーに近いので、どうしようか迷っていると、その船のクルーらきしお兄さんが現れ、そこにつなげヨと言っている。

 まあ、相手がいいって言うんだから、近くてもいいか。ラットをセツに渡し、ボートフックを持ってバウへ行く。

 さっきのイギリス兄さんが見ているので、ここはナメられない様にスマートにキメなくては。セツと合図を決め、慌てないように、大声を出さないように。

 舫いをクリートしたら、早速上陸準備。
 と、その前にちょっと水浴びがてら、初日にぶつけたキールを見に潜ってみる。

 先端は、ちょっと暗くて良く解らないが、根元の方にクラックはない。先端の方も手で触った感じでは大丈夫そう。

 ガイドブックでスーパーマーケットらしきを確認して、テンダーで上陸。石ころを積み上げた防波堤の上でフランス人の女性が夕涼みをしている。黙って通り過ぎようとしたら、”良い旅を”って声を掛けられる。ちょっと、バツが悪かったが、サンキューって言ってスーパーへ急ぐ。道はかなり暗くなってきた。もう17:30。

 もしかして、こんなのんびりした所なら、とっくに店は閉っているのでは?っと、はたと思い、道端で夕涼みしているおじさん達に、店はまだやっているか?っと聞く、フランス語は、にわか勉強なのでなかなか通じない。
 なんとか通じたが、どうも店は早くに閉るらしい。がっくり肩を落として船へと帰る。

 腹が減った。今日もろくな物食べていない。昨夜のフランス料理もぜんぜんだったし、口に合ったものを腹一杯食べたいよー!




コンビニ?ボラボラヨットクラブ

 船に帰り、すっかり辺りも暗くなり、西の空がオレンジ、紫を主体とした色で描かれている。ああっ、さすが南の島。

 ふと、ボラボラヨットクラブへ目を向けると、煌々と火がともり、沢山の人であふれている。なんか盛り上がっているなぁー。よし、今日はあそこで晩御飯だ。
 懐中電燈を持ってテンダーで専用桟橋へ。おおっ、ここはヨットただのヨットクラブだと思っていたら、バーとラストランではないか!

 とりあえず、ヒナノくれー。座って落ち着いて辺りを見回すと、この建物は海上に突き出しているので、足下は海だ。そして床の所々がガラス張りになっていて下が見える。そしてそこにはイケスがあり1m位の鮫が10匹位いる。

 壁には、所狭しと各国のヨットクラブのクラブ旗やサイン、スナップ写真が張られている。日本語のもあった。

 空きテーブルを見るとRESERVEの札があったり、ディーナーを食べてる人達は、なんか高そうな物を食べている。しかし、メニューは無い。

 何を食べようか?オマカセじゃ昨日の二の舞になりそうだし...と思っていると、ミネラルウオーターを半ダーステイクアウトしている奴がいる。カウンターにいるおねーさんに聞いてみると、売ってあげるよ。ビールもいいの?OKヨ。ラッキー!!

 これなら船でスパゲティが作れる!




スパゲッティがうまい

 ヒナノビールを6本とミネラルウオーターを5L持ってウキウキしながら、船に帰る。すぐにお湯を沸し、スパゲッティを茹で、コックピットで静かな夕食。持参した缶詰のミートソースだが、口に合う事と安堵感で、旨いことウマイこと。

 腹一杯食べてヒナノをゆっくりと飲む。ヨットクラブは相変わらず、賑やか。隣のイギリス船も中でパーティをしているらしい。

 時々、ばしゃっと魚が跳ねる。ヨットクラブで見た小型の鮫が小魚を追いかけているようだ。

 夜が更けてきて、月が上ってくる。星座には詳しくないが、日本と全然違う星が見えることは分かる。断然空が澄んでいる。(田舎のうちと比べてさえそうだから、都会と比べると天空全体が天の川状態)




移動するかしないか



 朝激しい雨の音で目を覚ます。外を見ると昨日とうってかわって、ツインピークスは、霧に覆われ、まるでジャングルを見ているようだ。仕方ないので、もう一眠り。

 次に目を覚ますと、眩しい太陽が出ていた。

 さあ、今日は何をするかな?食料も買いに行かなくてはならないし、島の裏側でシュノーケリングもしたい。

 とりあえず、買出しに行き、午後から泳ぎに行くことにする。
 島の反対側へ行くには、ラグーンの中の珊瑚の間をぬって行かなくてはならない。目印や注意事項は、聞いて覚えているが、初日の座礁が尾を引いていて気が重い。
 まあ、テンダーで行ってもいいか。とりあえず、食料だ!




食料補給

 昨日、歩いて行きかけた町までは歩くと30分位はかかりそう。テンダーで行くことにする。
 バイタペの港には、割と近代的な桟橋があった。大きな船も入りそうなので、はしっこに着け、上陸。

 上陸して町のメインストリートに出るとすぐ、日本語の看板が目に入る。こっ、こんなとこまで日本の観光客(我々もだけど)に毒されている。

 スーパーを見つけ、中にはいる。食料品から雑貨、衣料まで売っている。よろず屋といったところでしょうか。
 見たこともないようなカップラーメンもある。色々なものをガンガンと、かごに放り込んでいく。
 途中で日本人に会い、”昼食は、何処で食べるんですか?”と聞かれ、”船を借りているので、その船に寝泊まりしているので、そこで食べます。”と言うと、”へぇーっ!?”と言ってどっか行ってしまった。こっちも日本語に飢えているので、一緒に食べればいいなーっと思ったのにー。

 タヒチでは、殆どの物が輸入品なので、原産国は様々で当然日本製品もある。
 水を持てるだけ買ったので荷物が重い。
 道端では、何人も男の人が簡単なテーブルを出してモンキーバナナを売っている。旨そうなので1つ買う。このオジサン達、バナナをほっといて、そこここに集ってお喋りしている。”これちょーだーい!って言ってもなかなか帰って来ない。

 土産物屋等をチェックしつつ、一旦食料を船に運ぶ。




泳ぐぞぉー

 グラタン、ベーコン、興味半分で買ったカップラーメン等で昼食。
 さあ、泳ぎに行こう!裏側へ行くのは、やはり気が重いし時間も掛かりそうなので、テンダーで10分位の所のモツ(ほんの小さな島)へ行くことにする。

 着いた所はあまりいい場所ではなかった。水は、もちろんきれいなのだけど、ごみがけっこうある。おきまりのカンとかビニールだ。


 とりあえず、マスクとシュノーケル、フィンを付けてシュノーケリング(素潜りではない)魚影は少ないが、熱帯魚みたいなのがいるいる。

 成田で買ったインスタントカメラを水中で使うためのハウジングの出番がきた。水も入らない様なのでカメラを沈めて魚を狙うが、シャッターチャンスを待ってると息が続かない。なんとか数枚撮ったが、後で現像してみるとボケボケだった。

 1時間程誰もいない貸切ビーチで遊んで船に帰る。

 シャワーをしていると水が出なくなった。これは、タンクのコックを切換えれば出るだろうと床板をひっぺがし、コックを見るが、全部ONになっている???
 水、燃料は、満タンにしてあるって言ってたのに...

 しょうがない水を補給しなくては...が、ボラボラヨットクラブで水を補給できるとガイドブックには書いてはあるが、そのような場所は見当たらない...

 もしかして、ポリタンクで手運び??
 それなら、さっき買物に行ったバイタペでも水の補給はできるらしいので、設備の整ってそうなバイタペへテンダーで偵察に。

 その辺で遊んでいる子供たちに水がないか聞くが、現地語とフランスごしか解らないので随分と手間取ったが、小学校の水道へ案内してもらった。

 そこで、海水を洗い落とすために水浴び、つでに持ってきたベットボトルに水を入れて帰る。
 しかし、現地の人から見ると、こいつら何やってるんだろうと思っているだろうな。
 我々だって、新婚旅行と言うのに、食料といい水といい、ひもじい思いをしてるので、2人で苦笑いなのでした。




おみやげ、お土産!

 さあ、今度はお土産だ!!タヒチ島よりもこっちの方が珍しい物があるかもしれないと、再びバイタペへ。中に入るとカラフルなシャツやパレオ(現地の人が着ているヤツ)が一杯!一時間ほどかけて買いまくる。(いやですね。日本人丸出し)

 しかし、タグ等をよく見ると、シンガポール製だのインド製だのばっか。まっ、いいか

 さて、支払い。ここでちょっと問題発生。
 トラベラーズチェックで払おうとしたのだか、サインの仕方が違うので駄目だと言う。
 心あたりはあった。銀行で、トラベラーズチェックを作った時、通常では空けて置くところにサインをしておけと言われていたのだ。
 一昨日、郵便局では何にも言わないで替えてくれたけど...
 どうしようかと思っていたら、日本円でもいいと言うので助かった。

 (しかも、トラベラーズチェックは、米ドルが使えるとは知らず、フランで作っていた。そして帰国後、殆ど使えなかったT/Cのおかげで数万円位損をしたのでした。銀行に文句を言ってもティッシュで誤魔化され、T/Cのサインの訂正を何十枚もさせられたのでした。)




素敵な黄昏(たそがれ)

 船に帰ると暗くなり始めた。日陰になったコックピットで夕涼み。
 カヌーのお祭か大会でもあるのだろうか、男たちが大型のカヌーで練習をしている。
掛け声が何とも心地好く、夕暮れに溶けていく。
 空はまた昨日と同じく、赤く染っていく。色の変化と雲の形が変っていく様子をあきずに眺めていた。

 そして思い出したようにカメラを持ち出して、もうフラッシュが要りそうな風景を撮ったのでした。





夜通しワッチ!?

 食事をし、くつろいでいると、隣のイギリススクーナーと異常接近してる。
舫いをチェックするが、しっかりテンション掛かっている。
 スクーナーからも若いのが出てきたので、舫いをもっと締めようとか、間にテンダーを入れてフェンダー代わりにしようとか話した。

 弱い風が振れ回り、お互い船の重量、形状が違うので、船の流され方が違う。
 テンダーやありったけのフェンダーを準備するが、お互いの船が色々向きを変えるので、完璧ではない。お互いの船を抱けせようかとも思ったが、多分向こうはいやがるだろう。

 結局、彼等はそれ以降、様子を見に出てこなかった。しかたないので、セツと交代で夜通しワッチすることに....ほんとに何て新婚旅行だ!


 2000過ぎて入港してきたヨットがあった。5,6人は乗っているようだ。
少し、湾内を確かめてアンカーを入れた。手早く片付けて、あっという間に寝たみたいだ。

 沖の方から大いびきが聞こえる。沖の方には、デッキの上で寝ている奴がいる。
 双眼鏡で星を見たり、航海日誌を書いたり、うつらうつらしたり...夜は更けてゆく




もう、帰らなきゃ

 お隣さんが起き出す頃まで交代で見張り、それから2,3時間熟睡。
 起きてみると外は、ドッ、ピカーン!

 昨夜やってきたヨットはもういない。

 ふと、ヨットクラブに目をやると、大イビキをかいて寝ていた人が、桟橋につけている。同じ、ATMのチャーターヨットだ。どうやら、水を補給しているらしい。
 そうか、そこで水をいれるのか!

 今日は、もう帰り始めなければならない。今夜はタハアへ泊り、明日の昼には、ライアテアのATMベースに帰りつかなくてはならない。

 いびきのおじさんが給水を終えたようなので、今度はうちの番。
 桟橋に寄っていくと、水深はあるのだけど、底が見えて気持ち悪い。

 沖のブイへバウラインを取り、バックで桟橋へ着けようとするのだが、ロープが短かったり、風に流されたりして3度目にやっと桟橋付ける。

 アンカリングブイからバウへ取ったロープが短いので、スターンを桟橋へ強く引かなくてはならない。けど、船が前へ行こうとする力を桟橋にかけたら、桟橋が壊れそう。仕方ないので、ギアをバックに入れて少し吹かしておく。

 桟橋にいた屈強で無表情な現地のおじさん、入れ墨も入って恐そう。これまた言葉が通じないので、苦労して、ホースのありかを聞く。

 贅沢言っちゃいけないのだけど、水の勢いは弱い。この船には、5,600Lのウオータータンクがあると聞いていたが、どうして出なくなったのだろう。そんなに沢山は使っていないのに。全部満タンではなかったのだろうか?それとも、コックの開けかたが違ったのだろうか....

 などと考えていると、マネージャーのおばさん(おばさんと言ってもフランス人のマダム)が出てきたので少し話す。水はチャーターヨット会社が契約しているのでタダでいいらしい。が、もう一晩なので、2タンクだけにしておく。

 お隣のイギリス船のお兄ちゃんも通り掛かり、ハネームーンで来たとか、もう帰らなゃいけないとか、今度は日本にも寄れよとか、お前は子作り頑張れよとか話し、最後はあっさりと、SEE YOU LATERで別れた。




 午前11時さあ、出航!

暑い!

 生まれてこの方、たったの2度しかパスを通った事がないのに、今回は余裕でパスを通過。
 ”ボラボラよ!今度は自分の船で来るからな!”などと、心の中で気取ってみるが、余りにも忙しいスケジュール。これだったら、ツアーの方があちこち見れたかもしれない。いろんな気持ちでちょっと寂しくなる。

 沖へ出ると風が結構吹いている。が、クローズドホールド一杯。タックして遊んでいる暇はないので、ジブに多少裏が入っても気にせずエンジン全開。

 セツは、既にキャビンでお休みされている。




話が違う!

 来る時よりもうねりが大きい。船もデカイのスプレーは被らない。



 ふと、堀江さんの事やHOPE2の藤村さん達シングルハンド航海者達の事を考えた。(藤村さんは、この数週間後、ボラボラに着いた)

 こんな状態で、何日も過ごすんだろうなって。

 写真で見れば、孤独感とは無縁の様な景色が広がっていて、すごく雄大な気持ちにもなれるが、実際自分がポツンっと居てみると、何だか知れない孤独感というか恐怖感ってのがある。
 海は、今まで見たこともないダークブルー。

 船に乗る前のブリーフィングでは、帰りは真追手になるから、スピンポールで観音開きにするといいって言っていたが、風はどんどん前に回り、正面になった。

 後からは、照りつける太陽。立って操船していると膝の裏が日に焼けて痛いこと痛いこと。




なぁーんにも無いぞぉー

 再び、タハアに戻って来た。風が強いので、バリアリーフで砕ける波が凄い。あんなとこに座礁したら...考えただけでも身の毛がよだつ。

 パスを入って左に行けば町がある。右に行くと先日泊ったマリナイチ。まっすぐ行った湾の奥にもアンカリングブイがあるようなので、今夜はそこに泊ることにする。

 途中、2艇ほどヨットを見掛けたが、クルージングヨットではなく、地元の人が置いている船の様だった。
 泊地が見えてきたが、何にもないぞ!民家が一軒見えるだけ。




また座礁か?

 何もないけど、今更他の場所へ行く時間はない。どうせ、飯喰って寝るだけだから、っと自分に言い聞かせる。

 チャートを見ると通れる幅が凄く狭いところが近づいてきた。水路自体の幅は広いのだけど、深さの十分ある部分は10m程しかない。

 水深計は、2.5mまで指した。デッドスローだが、心臓バクバクである。

 そこを抜けると、泊地だ。アンカリングブイが5,6個浮いている。他には誰も来ていない。さびしーなー!




静かな泊地

 片付けをしていると、子供が二人、船の近くでまで泳いで来てた。岸からは結構離れているし、砂浜もないのに何処から来たのかな?こっちに興味があるようでもなく、そのうちどこかに行ってしまった。

 ビールを片手にのんびりと夕暮れ時を過ごした。何もなくてのんびり、タヒチには、悪い人は余りいないと聞いていても、ここで強盗が来たらと考えるとちょっと恐い。
 辺りはうっそうとした森、1軒ある民家までは、数百メートル離れている。

 暗くなって、船で最後の夕食。食料を片付ける為、凄いボリュームになった。

 夕食を取っていると、何処からかかすかに太鼓の音が聞こえてくる。何だか、黒魔術の儀式のような...
 あの民家からだ。町から離れたとこにポツンと住んでいるのはそのせいだったのか?
 見ると、なんだか変な格好をした男が焚き火の前で儀式をしているように見える。
 オイオイ、獲物が来たって喜んでいるんじゃないだろうな。


 双眼鏡をだして恐る恐る覗いてみると、家族が集ってタヒチアンダンスをしているではないか!。その時、風向きが変ってはっきりとタヒチアンミュージックが聞こえてきた。
 なんだ、びっくりさせやがって。
ビクビクしているとそんなもんである。


 水は、たっぷりあるので十分にシャワーを使う。

 再び、ビール片手にコックピットへ出る。入り江の両側は、結構高い峰なので空も少ししか見えない。灯りも例の民家しかないので、あたりは真っ暗だ。
 そのうち月が上ってきた。今日の月は、一際明るい。最後の夜は、満月だ。




最後の航海

 タヒチへ戻る飛行機は午後3時位。船を帰す手続きにどれくらい掛かるか解らないので早目に着くように出航。
 マリナイチを横目に見て、ライアテア島に向かう。

 来る時は気付かなかったが、ライアテアの中心部は、ヨーロッパ風の建物が多く、朝日に照されてとてもきれいだった。
 ラグーン内の走り方にも船にもすっかり慣れ、全開で走る。あっさりとファファロア川の河口に着いてしまった。ここからATMベースまでは30分程。




チェックアウト

 予定よりも少し早く、1100位にはベースに到着。
 船内を片付け、備品のチェック。
 キールをぶつけたことを素直に報告すると、ボスの表情がこわばった。若い衆が潜って確認。大丈夫との報告にボスの顔もゆるむ。こっちもホッ。

 無事、デポジットのクレジットカードも返してもらい、あっけなく手続きは済んでしまった。時間が余ったら、ファファロア川上流へテンダーで行ってみたかったが、何か言いにくい雰囲気なので、その辺をブラブラして遊ぶ。ボスや若い衆も余り構ってくれない。迎えのタクシーが来るまでまだ2時間以上もある。




タヒチ島へ

 帰りのタクシーは何とも無愛想なおじさんだった。
 飛行機の搭乗券は何ともチャチで、文化祭のチケットみたい。こんなんで飛行機に乗せてくれるのかと思ったら、どうやら乗せてくれるみたいだ。

 飛行機が来るまでまだ時間があるので、その辺の店をブラブラする。
 ここは、確かに飛行場なのだけど、雰囲気としては田舎の駅みたい。




ラッキー!オーバーブッキング

 タヒチ島に着くと、もう暗くなりかけていた。
 現地添乗員の日本人が迎えに来てくれていた。本当は、バスでホテルまで行くらしいのだけど、手違いで手配できなかったので自家用車で連れて行ってくれる。

 車中、当初予定していたホテルがオーバーブッキングの為、ホテルが変更になったと聞く。代りのホテルは、ワンランク上のホテルだそうでかなりいいらしい。ラッキー!
 タヒチには、似つかわしくないハイウエイを走り、ホテルにつく。でっ、でかい。




やっと新婚旅行

 ホテルでは、あまり旨くはないが豪華な食事をし、ショーを見た。とっても新婚旅行らしい。

 翌日は、てっとり早く観光するため、タヒチ島一周バスツアーに参加。いろいろ見せてもらい、これまでの5日間、半ば船に振り回されたのは何だったのか?
 でも、時間さえもっとあれば、ヨットでももっともっと楽しめたと思う。やっと、雰囲気とかペースが解りかけた所で時間が来てしまった。そんな感じである。
 そのせいか、バスツアーでは、我々は少し浮いた日本人になってしまった。
 日本人は、日本人で固まって行動していたらしく、都会の生活そのままで、人は人、自分は自分、感情を表さない、そんな風に見えた。私が、観光地でバスから降りて現地の子供とじゃれたり、写真を撮ったりしていると、もとても視線が冷たいのである。



 この一週間、楽園と呼ばれるこの地で、とても大きな気持ちになれた。この気持ちを忘れないで生きて行きたいと、そして今度は、自分の船で来るからな。その日の遅く、空からタヒチ島影を見下ろし、そう思った。



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