『大宇宙の屍』への補足

このファイルは、 DASACON 2 というイベントの中で開催された「架空書評勝負」に参加するために書かれたものであった。つまり『大宇宙の屍』は「架空書評勝負」のために用意された架空の書物で、筆者はそれを所有してもいないし読んだこともない。

1999年8月末、勝負は決着がつき、架空の書物であることを隠しておく理由も消えたので、別枠扱いにする。

それにしても、1938年に刊行されたという設定の本について語るに際し、横田順彌の『日本SFこてん古典』を参照できなかったのは痛恨。本を詰め込んだ段ボール箱のどこかにあるはずなのだが、探し出せなかった。今もまだ見つからない。『新・日本SFこてん古典』の方は、「架空書評勝負」の締切が過ぎた後で見つかった。

◎[横田順彌]……ここで、最近、ぼくが注目しているのは、空想科学小説という言葉なんだ。のちの<SFマガジン>で空想科学小説というサブタイトルがつくんだけども、この名称を作った人は誰なんだろう?
◆[會津信吾]海野十三の日記を見ると、空想科学小説って言葉を使ってます。
◎ああ、ほんと?
◆でも、自分一人の胸の内で使っていた言葉かもしれません。新たな小説のジャンルとしては、まだ使ってなかったみたいです。
◎少なくとも、戦前には、空想科学小説というサブタイトルのついたものはないんだよね。
◆戦前は、科学小説ですね。
◎じゃあ、やっぱり空想科学小説という言葉が使われ始めたのは、この頃[昭和30年に刊行された室町書房の<世界空想科学小説全集>シリーズ]からだな。それからSFという言葉も、もう少しあとのようなんだけども、この小説集の推薦文のところで香山滋が使っているんだね。
◆江戸川乱歩が『科学小説の鬼』ってエッセイで、サイエンス・フィクションと書いていますよ。

(横田順彌+會津信吾『新・日本SFこてん古典』、徳間文庫、1988年、399ページ)。

こういう部分などは利用できたかもしれないのに、と残念でならない。


などと書いている内に、問題の『日本SFこてん古典』が見つかった。ぱらぱらめくると、上の引用中で横田順彌が言及する香山滋の推薦文が引用されている。

先日、江戸川乱歩、原田三夫両先生と三人で、科学小説についての座談放送を行った際、ほんとうに面白いS・F・が紹介されずにいる不満を嘆いたが、その不満が、此の度誕生した本叢書刊行によって満たされたことは、何といっても喜ばしい。[1]

室町書房の「世界空想科学小説全集」シリーズの第1巻、アイザック・アシモフ『遊星フロリナの悲劇』に付されたものらしい。第2巻はアーサー・C・クラークの『火星の砂』で、木々高太郎が推薦文を書いていた。が、シリーズはこの二巻だけで途絶したそうである。



注:

  1. 横田順彌『日本SFこてん古典 III』(早川書房、1981年)、333ページ。

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Last Modified : Oct 5, 1999