「備後府中 首無地蔵菩薩」『礼賛記』第13部>28


『地蔵大菩薩礼賛記』第13部

二十八 左手の痛み消える


(府中市)S女(38才)


私は神秘的なもの、とりわけ神通力などというものには特別に興味を持つ方である。と同時にそれに対する畏れと、好気心というか面白がっている表も多分にある。つまり、そういった現象に出合うことが無かったし仮にあるとしても自分では気のつかないことである。そんな折、首無地蔵の出現は私にとって好気心を燃やす格好の材料になった。

時折、訪れては勝手なお願いをし、それが現実に現われるのを秘かな楽しみにもしていた。たいした願い事も無かったためか、これといって何の変化も現われなかった。

私は事を運転することが多い。57年6月始め頃、左手が痛く握る時はすんなり指が曲らない。ひどい痛みではなかったが、ハンドルを握る時はちょっと心配だった。左手の甲も腫れていた。勿論、左手を使って起き上るのは痛くて出来なかった。

一ヶ月位痛みは続いた。7月に入り首無地蔵の近くの親戚に来た時、ここまで来たついでにお参りして帰ろうと軽い気持で参拝した。夕方だったためか人の気は無かった。これ幸いとお地蔵様をさすった。願い事をするというより何とはなしに摩ったといった方がよい。そしていつものように家に帰った。

ところが翌日一ヶ月位ハンドルを握る時いささか不自由だった左手の痛みがピタリと無くなっていた。手の甲の腫れもひいていた。起き上る時左手をついても何の痛みも感じなかった。

私はお地蔵様の奇跡なる話を人から開いて面白がっていたが、自分に起るとは考えていなかった。もし起るとしたら面白いことだとは思っていた。この私に起った現象がお地蔵様のお蔭かどうかは分からない。けれども私はお蔭だと思っている。納得できるからである。あの日以来一度も痛みを覚えない。

昭和五十七年八月十五日