JOHN平均律


(Nifty Serve FLORD で公開した際 JUBAL(山野)氏によって命名されました)


 JOHN平均律は、決してJOHNの発明ではないと思います。調律士の大勢が「純正5度で平均律ができる」事を経験上知っており口にしたこともありましたが、理論的な裏付けが無い為、「有り得ない」と無視され続けていただけであり、JOHNは「有り得る」事を数式で示したに過ぎません。


一般的な平均律の発想(俗説)

調律方法の一例 (5度を使って1オクターブを調律しようとすると6回オクターブ下げしなければならない)
C G G D A A E B B F# F# C# G# G# D# A# A# F C'
5度 Oct 5度 5度 Oct 5度 5度 Oct 5度 Oct 5度 5度 Oct 5度 5度 Oct 5度 5度
3/2 1/2 3/2 3/2 1/2 3/2 3/2 1/2 3/2 1/2 3/2 3/2 1/2 3/2 3/2 1/2 3/2 3/2


5度を純正(3/2)にするとC’は
(3/2)*(1/2)*(3/2)*(3/2)*(1/2)*(3/2)*(3/2)*(1/2)*(3/2)....
(3^12) /(2^(12+6))=531441/262144=2.027286529541=1223.460010385cent

  つまりオクターブ目は半音の1/4近い23.460010385セントも高くなります。

  この 23.46セントを どの5度にも約2セントづつ負担させるというのが平均律の発想だとされています。この発想法では、正しい平均律理解は得られません。
 過去、この数式が主要な座を占めてきた為、平均律は「妥協の産物だ」というあらぬ中傷を受けたり、「純正5度で平均律ができる」事が見えなかったのだと思われます。


本当の平均律(実際)

 平均律は、数ある音律の中で、唯一の相対音律です。
なにしろオクターブを同じ比率で12等分するのですから。

(2の12乗根) 2^(1/12) 1.059463094359 (半音)

 どの半音も全て同じ比率で、全音は半音2つ(2乗)に当たる、最も単純明快な音律です。


 さて、ここで発想を転換してみましょう。

オクターブを12分割するのだからオクターブはどこをとっても2.0になるのは当然
それなら1.5を7分割すればどこをとっても5度は純正になるじゃないか。

 2の12乗根 2^(1/12) 1.059463094359 (半音) ならば
1.5の7乗根 1.5^(1/7) 1.059634022667 (半音) も考えられる

でもオクターブが許容できない程の誤差がでたのではしょうが無い。
計算して確かめてみる事にしましょう。(数値はWin95電卓によるものです)

平均律 JOHN平均律 差(cent)
C 2^( 0/12) 1 1.5^( 0/7) 1 0
C# 2^( 1/12) 1.059463094359 1.5^( 1/7) 1.059634022667 0.2792858378
D 2^( 2/12) 1.122462048309 1.5^( 2/7) 1.122824261994 0.5585716765
D# 2^( 3/12) 1.189207115003 1.5^( 3/7) 1.189782789484 0.8378575132
E 2^( 4/12) 1.259921049895 1.5^( 4/7) 1.260734323321 1.1171433512
F 2^( 5/12) 1.334839854170 1.5^( 5/7) 1.335916982535 1.3964291890
F# 2^( 6/12) 1.414213562373 1.5^( 6/7) 1.415583086153 1.6757150272
G 2^( 7/12) 1.498307076877 1.5^( 7/7) 1.5 1.9550008654
G# 2^( 8/12) 1.587401051968 1.5^( 8/7) 1.589451034001 2.2342867038
A 2^( 9/12) 1.681792830507 1.5^( 9/7) 1.684236392990 2.5135725409
A# 2^(10/12) 1.781797436281 1.5^(10/7) 1.784674184227 2.792858380
B 2^(11/12) 1.887748625363 1.5^(11/7) 1.891101484982 3.072144217
C 2^(12/12) 2 1.5^(12/7) 2.003875473803 3.351430055


2.003875473803=1203.351430055cent

 オクターブ純正の平均率に比べ約3.5セントとオクターブはやや広がっているものの、誤差と呼んで見過ごされかねない低い数字に収まっています。

 一方現実の楽器に目を向けてみると、バイオリンの調弦の解放弦だけに着目すれば、ピタゴラスとこのJOHN平均律以外に合致する音律は無さそうですし、弦振動の倍音ズレによって生じるピアノの調律では弦の状態(特に長さ)によって左右されますが、中音域で1セント、その上下では更にオクターブは広がります。ピアノの調律カーブは、ピアノの響きの美しさを求めた結果でであり、音律の理論だけによるものではありません。
 管楽器であっても生楽器の演奏者はシンセサイザーとかエレクトーン等とアンサンブルする機会があると基準Aでピッチを合わせたにも関らず異口同音に「電子楽器はb(フラット)だ」というのをみると人間の感覚としてはオクターブは純正数値の2.0よりやや広いのを好むのかもしれません。これは、今後の課題です。

 しかしJOHN平均律が良いと言っているのではありません。3.5セントの誤差は決して無視してしまって良いものではありませんし、無視すればJOHN平均律は成り立ちません。一般に音律研究家が、机上論にのみ走り走り過ぎてオクターブは丁度2倍でなくてはならないというような極端な狂信状態に陥らない為の一石になれば幸いです。


 調律は、現在当然のように行われている、2音同時に鳴らしてその唸りをカウントする方法は、19世紀にイギリスで発明されたもので、ピアノ調律に飛躍的な進歩をもたらし、平均律と共に瞬く間に普及しました。それまでは比較する2音を交互に鳴らす方式であったといいます。古典調律は調律士の感(訓練された音感)が頼りで、その全盛期より、むしろ現代が最も理論通りに正確な古典調律が可能な時代であることも忘れてはならないでしょう。


 JOHN平均律は、この後53音律(53平均律)へと発展します。

付帯資料
初稿 1996年4月 NiftyServe FLORD
更新日 1999/01/20
(C) john&kirara


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