楽譜浄書〜はじめに 五線のサイズ 五線のひき方 線の太さ 小節割り スタンピング あとつけ 定規の使い方 符尾のひき方 符尾の長さ
皆さんは、浄書という言葉を、いつ頃からご存知でしたか?
パソコンの普及と共に、画面上で楽譜を扱う技術も進み、「楽譜浄書ソフト」という言葉も珍しくなくなりました……が、それはごくごく最近のことです。
浄書という仕事の存在を、それ以前からご存知だったでしょうか?
五線を1本ずつひき、音符のハンコを1つずつ押して、完全な手作業で楽譜版下が作られていたことを、ご存知でしょうか?
楽譜浄書について、一般の人は全く無理解です。
たいていの人が「楽譜はコンピュータで作るもの」、コンピュータが無かった時代は「印刷屋が印刷するもの」という認識しかありません。
「実は……」と説明しても、「何でそんなこと。印刷すればいいのに」「馬鹿馬鹿しい、線を引くだけの仕事なんて」etc.といった反応しか返ってきたことがありません。
これは、手書きとは微塵も感じさせない楽譜を作りつづけてきた、ということの証ですから、浄書家にとっては勲章ともいえます。
しかし時代は確実にコンピュータに移行しています。
すでに数多くの「楽譜ソフト」「浄書ソフト」が存在します。しかし、浄書職人が何十年もかけて積み上げたノウハウをきちんと継承しているソフトには、まだお目にかかりません。
浄書の技術とは、道具の使い方を除けば、「こういう時はこうする」という知識の集合体ですから、プログラムとして再現するのは可能なはずですが……
このコーナーでは、楽譜浄書について、私が知っているかぎりのことを書いていこうと思います。